ハリオ式とコーノ式の違いって?
前回はメリタ式とカリタ式の違いについてお話させていただきました。
今回は、「コーノ式」V60と「ハリオ式」名門ドリッパーの違いと、全体的なまとめのお話をしてみたいと思います。
下の画像を見てください。
この両者も本当によく似ていますよね。
円錐型のコーノ式・ハリオ式を見てみると、台形型のメリタ式・カリタ式に比べて背が高い分、コーヒー層が深くなり、より長い時間コーヒーにお湯が接する形状ということがわかります。
また、排出される穴の大きさから、台形型のドリッパーのように底に溜まることなく、コーヒー液は流れ落ちるという点が大きく異なります。
左が「コーノ式」で右が「ハリオ式」です。
コーノ式の「名門ドリッパー」
コーノ式の会社は、珈琲サイフォン株式会社。
珈琲サイフォンを世界で初めて開発した人、初代社長の河野彬さん。
コーノ式のフィルターは、2代目の河野敏夫社長が開発。
河野さんだから、KONO。
名門ドリッパーは、1973年に発売。
円錐ドリッパーの元祖はコーノなんです。
ハリオ式の「V60」
HARIO株式会社。元々は1921年創業した日本の耐熱ガラスメーカー。
ハリオは、ガラスの王様「玻璃王」が由来なんです。
元々がガラスメーカーさんなので、ガラス製のV60も精密に作られており、
寸分違わず、精密に作られています。
基本的にペーパーの装着方法は同じです。
(ハリオのペーパーです。)
このような、円錐型のペーパーのギザギザのところを折り込みます。
装着すると、こんな感じになります。
ドリッパーと密着させるのがポイントです。
※コーノ式は、上部のリブがないところへペーパーを密着させることで本来の性能を発揮します。
秘密はリブにあり
リブとは、ドリッパーの内側にある筋のようなもの。
リブがないとペーパーがドリッパー面に張り付き、コーヒー液は流れ出ることができません。
リブが多ければ多いほど、ペーパーとドリッパーの間に溝が生まれ、コーヒーは落ちやすくなります。
コーノ式
コーノ式は、下部だけにリブを入れることにより、上部にはペーパーを張り付け、アクなどの雑味は上部に残します。
コーヒー液はセンターに集中させ、浸漬してから落ちることになります。
お湯の落とし方を下部のリブよりも水位を上げないように落とせば、ハリオ式のような淹れ方をすることも可能です。
逆に、お湯の落とし方で味をコントロールできる分、味を安定して淹れるには、ある程度の経験と技術が必要になってきます。
ハリオ式
反対にハリオ式は、全体的にリブが伸び、スパイラルな形状をしています。
ドリッパーとペーパーを密着させることを防ぎ、コーヒー豆を効果的に膨らませ、全面からすばやく透過して落ちます。
全面から透過していくので、コーノ式に比べて、すばやく安定して淹れることができます。
お湯の落とし方で、濃厚でも後味をすっきりさせるような淹れ方も可能です。
抽出時間の長さが違う
豆の量、挽き具合を同条件にし同じ淹れ方をした場合、上部からは透過されないコーノ式よりも、全面から透過されるハリオ式の方が早くお湯が落ちます。
味の差は?
ハリオ式は、全体に伸びるリブの影響もあり、短い時間で全体から透過する為、豆そのものの成分が出てきます。
すっきりと伸びのある、余韻のある味を楽しめます。
コーノ式は、下部にのみあるリブの影響で、アクや雑味は上部に残り、輪郭がはっきりとボディ感のある味わいになります。
また、豆とお湯の接している時間も長くなるので、情報量を多く抽出することができます。
実際に飲み比べをしてもらわないと文章では伝わりにくいと思いますが、ハリオ式とコーノ式の味の違いは小さくありません。
全く異なる仕上がりになります。
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注意すること
メリタ式、カリタ式の記事にもお話した内容ですが、コーノ式、メリタ式も同様に、それぞれのペーパーが存在します。
若干、コーノ式の方が厚手に作られています。
ドリッパーに合わせて、計算されて作られているので、同メーカーのペーパーで試してみることをお勧めします。
まとめ
ハリオ式とコーノ式、どちらにもそれぞれの特徴があります。
どちらとも研究に研究を重ねて作られていますので、どっちが良いということでなく、何を選ぶかということですね。
当店では試行錯誤を重ねた結果、コーノ式・ハリオ式の両方を使っています。
浅煎りの豆から、極深煎りの豆まで扱っているので、豆の特性を活かせるよう、豆別に量とお湯の温度、
お湯の落とし方、ドリッパーを変え、私が思うベストな状態でご提供しています。
コーノ式は、ボディ感を多めに、濃厚な味にしたい場合に使用し、浅煎りの豆や、深煎りでもすっきり目の味にした場合はハリオ式を使用しています。
これからドリッパーの購入を検討している方へ
今回、ドリッパーの2話に分けて4種類のドリッパーの説明をしましたが、各ドリッパーの特徴が少しでも理解して、選択するきっかけになってくれれば嬉しいです。
例えば、時間がない朝にコーヒーを飲まれたいのであれば、お湯の調整があまり必要なく、安定した味を出せるメリタ式。
身近にペーパーを購入できるので、手軽に始めることができる、カリタ式。
様々な種類のコーヒーを、色々と調整しながら飲まれたい方には、コーノ式・ハリオ式というように、ご自身に合わせた選び方ができると思います。
納得できない時は、また別のドリッパーに変えれば良いだけです。
そこまで値段がするものではありませんからね。
コーヒーの美味しさは、7割は豆自体の性能だと思っています。
そして3割が器具や淹れ方、温度によるものだと思います。
たった3割でも、やらなければ7割止まりのコーヒーです。
その3割を大事にすればするほど、自分だけの最高のコーヒーに近づけると思います。
動画でも解説しています
つたない文章で解説させてもらいましたが、動画で見てもらった方がわかりやすいこともあります。
上手に説明できていないかもしれませんが、機会があればご覧になってみてください。
文章よりも、イメージは掴んでもらえると思います。
動画はこちら👇
ぜひ、あなただけの最高のコーヒーを楽しんでください。
今回お話した、ドリッパーの内容について、
疑問やご質問があれば、ぜひ質問してくださいね。
前回のメリタ式とカリタ式のお話です。↑