レコードプレーヤーについている針。
実はいろいろと種類があることを知っていますか。
いろいろなメーカーが針を作っています。
CDやMP3プレーヤーといったものが登場して、かなり少なくなってしまいましたが。。。
音質の違いの面白さはもちろんですが、デザインの面白さもあって大好きなアイテムになります。
今回はレコード針について、語弊がある箇所もあるかと思いますが、ざっくりと分かりやすくお話ししてみようと思います。
レコード針について
レコードの溝の長さは、片面で400m〜900m
両面だと、2km近くにもなります。
レコードに刻まれた2kmに近い音の溝を、振動として拾い上げて電子信号に変換する役割を果たしてくれます。
この技術は、トーマス・エジソンが1877年に発明したそうです。
まず、針についてよく質問されることをお話ししましょう。
DJがスクラッチをするときにレコードを前後に動かしますよね。
レコードを擦るような姿、想像できるでしょうか。
そこで、こんな質問をされます。
「レコードを逆に動かしたら、針がレコードに引っかかって傷をつけませんか?」
針を間近に見たことがない人は下の図のようなイメージをされるようです。
針が斜め下に向いて付いているような感じ。
知らない人からするとこんなイメージみたいです。
レコード針の各パーツ名称
実際は下の図のように、針が垂直に付いている感じですね。
針の付いている棒状のものはカンチレバーと言います。
そのカンチレバーの下に針がついています。
真下に針が付いていているので、スクラッチをすることができるわけです。
カートリッジの種類は細かくたくさんあるのですが、今回は3種類ほどご紹介します。
SHURE M44-7
下の画像は、SHUREというメーカーのM44-7というものです。
黄色の部分がカートリッジ。赤の部分が交換針です。そして青の部分がシェルといいます。
このM44-7はDJを始める時に購入したので、かれこれ27年もの。
リスニング用のハイファイカートリッジには、まったく敵いませんが中低域が下品な音質が個人的に好きです。
もちろん、よい音質で聴きたい時には、ハイファイ用オーディオカートリッジで聞くのがもちろんですが、常日頃は音質がよく分かっている、SHURE M44-7の使い勝手が良いです。
気楽に使えますから。
長く使っていない期間がありましたが、懐かしさもあって改めて使い始めました。
自分の高校生時代は、DJを始める多くの人はこのM44−7から始めたものです。
交換針もレコードショップに置かれていたものでした。
ただ残念ながら、M44-7の針は生産が終わってしまいました。
現在はJICOというメーカーが、互換性のある交換針を出しているので、M44-7のカートリッジを使用し続けることはできます。
ただし、仕様がことなるので、残念ながら純正品の音質はまったく異なります。
純正品の方が好きでした。
ORTOFON コンコルド
次に、特徴的なカートリッジをご紹介します。Ortofonというメーカーのコンコルドです。
シェルの役割も果たしているカートリッジで、先端の赤の部分が交換針となっています。
シャルが必要ないカートリッジです。
M44-7、コンコルドの両方共にMM型といって、針が折れたり劣化した場合は赤の部分の針を交換することができます。
残念ながら、そこまでの音質はないのですが、使用しているDJは多いですね。現場ユースなんです。
埃りが取りやすいとか、丈夫とか。
針圧も重めなので針飛びがしにくい点もあります。
M44-7よりのっぺりとして平たく締まった感じの音質です。
最近ではコンコルド型も新しくなり、Concorde MKⅡになりました。音質も向上したようです。
針の部分がいろいろと種類があります。値段もまちまちです。
25年前に初めて見たときは、なんて近代的なカートリッジなんだと思いました。
EMT TSD15
次にEMTのTSD15。
紹介したいハイファイ用オーディオカートリッジは沢山あるのですが、特徴的なTSD15をご紹介します。
独特なフォルムで、赤い線が入っているところがレンズになっています。
このカートリッジはMC型といって、針を自分で交換することができません。
針交換を業者にお願いすると、3万円〜でしょうか。。。
雑には扱えません。
その分、音質はすばらしいです。
高音の伸びの良さ、中音の広がり、低音の厚みと太さ。
音色に艶が出る感じがします。
普段、M44-7やプレーヤーに付属している針で聞いている方は、かなり驚かれると思います。
その分、値段もすばらしいですが。。。
カートリッジは「小さな発電機」とイメージしてもらうといいかもしれません。
スピーカーは電気信号を音に変換しますが、カートリッジはレコードの溝に刻まれた情報を、振動として読み取り電気信号に変換します。
次に、MM型とMC型について説明します。
MM型とMC型
カートリッジにはMM型とMC型に大別できます。
他にも、「VM型」「MI型」「IM型」「MP型」「MF型」「VMS」「MMC」…etc
と、いろいろありますが、市場に出回っているのは、MM型とMC型になります。
今回はMM型とMC型の話に絞ってお話しします。
MM型はムービングマグネットで、MC型はムービングコイル。
ちょっと面倒な説明ですが、知っておくと便利なので説明しておきますね。
うまく説明できるか不安ですが。。。
MM型
SHUREのM44-7、OrtofonのコンコルドもMM型になります。
MM型はカンチレバーにマグネットが付いていて、そのマグネットが針の動きで振動し、磁気回路に巻かれたコイルに出力電圧を発生させる仕組み。
マグネットが動くので、「Moving Magnet」⇨ 「MM型」。
MM型は針交換が簡単でお手軽な値段で購入することができます。
DJ用としてのカートリッジはほぼMM型です。傷んだらすぐに針を交換できますからね。
MC型の針でDJをする勇気は自分にはありません。
MC型
EMTのTSD15はMC型になります。
MC型はカンチレバーにコイルが巻かれていて、磁気回路に付いているマグネットにより発生した磁界の中で、針が動くことで出力電圧を発生させる仕組み。
コイルが動くので「Moving Coil」⇨「MC型」。
文章で書いても意味がよく分かりませんね。。。なんとなくでもイメージしてもらえたらいいのですが。。。
そして、MC型は自分では交換することができませんので、メーカーや業者さんに交換してもらう必要があります。
MM型とMC型 おすすめはどっち
初心者の方はシンプルな造りのMM型でしょう。
出力も高く3mV以上あるので、そのままアンプのPhono入力に差し込めます。
値段も7,8千円くらいからあります。
また、DJは必然的にMM型になりますね。
お金に余裕がある方は別ですが。。。
MM型はパワフルでダイナミックな音質となります。
一方、MC型はカンチレバー元の狭く小さな箇所に精密にコイルを配置するので、MM型に比べると複雑な造りになります。振動する部分が軽く、振動の精度が高い点と大きな磁石を使えるので広い周波数を拾うことができますので、音質はやはり飛躍的に良いです。
値段も3万円〜でしょうか。
カンチレバー元にコイルを巻くので巻数を増やせず、出力は低いという欠点があります。
出力を稼ぐために「昇圧トランス」または「ヘッドアンプ」、MC型の対応アンプ、別途機材が必要になります。
さらに、針の交換が自分でできない、別途機材が必要とお金がかかるんです。
もし、落としてしまったり、ぶつけてしまったりすると、数万円が一気に飛びます。
子供の頃、父親にこっぴどく怒られたのを覚えています。。。今、同じことを息子に言い聞かせています。笑
それもそのはず、音は本当にいいです。MM型のカートリッジからMC型に変えてみると、びっくりします。
熱烈なファンが多いのもMC型です。
高音の伸び感や、解像度も高い音粒は聴き比べれば大きな差があります。
個人的にMM型もおすすめ
自分はMM型、お勧めしますよ。
車に例えるならMC型は、ポルシェやベンツ、BMWのような特徴のあるハイグレードな乗り心地。
高級感が溢れるサウンド、そりゃ最高です!
ただ、旧車の面白さやカスタムしていくような面白さがMM型にはあると思っています。
1台の高級車もいいですが、複数のカスタムカーをジャンルで使い分けるような聞き方もとても楽しいと思っています。
自分のようにDJカルチャー側からのレコード機材への思い入れと、ハイファイオーディオ側からレコード機材への考え方は、少々異なる点があると思います。
ここら辺はご自身の考え方で選んでもらえたらいいので、そのきっかけとしての知識を得てもらえればうれしいですね。
レコード針の寿命
レコード針の寿命は200時間〜500時間と言われています。
針はダイヤモンドでできています。人造ですが、地球上で一番硬いダイヤモンドです。
レコードはポリ塩化ビニールで出来てます。
塩化ビニールという柔らかい素材をダイヤモンドで擦っても基本的に、ダイヤモンドは摩擦で減るということはありえません。
では、なぜ寿命があるのかというと、レコード盤に付いたホコリには石英等の硬い物質も多く含まれており、これらとぶつかる事によって分子単位の欠落が起こると言われています。
また、溝を通る時の摩擦の温度は800℃くらいまで上がりますので、熱により欠落が起こる可能性があるようです。
針を長持ちさせたいのであれば、常にきれいにホコリを取ってあげると良いですね。
カートリッジを交換する楽しさ
「良い音質で音楽を聴く」ということを念頭に言えば、カートリッジを変えるというのは後半の話になります。
高額なMC型のカートリッジを購入しても、安価なコンポに繋いでも音質が変わったのかどうかも分からないかもしれません。
スピーカーやアンプ、レコードプレーヤーが揃っていて初めて、カートリッジを交換する面白さが出てくるものではあります。
しかしながら、レコードプレーヤーに付属されていたカートリッジでレコードの音質を決めてしまうのはもったいないと思います。
この話はカートリッジだけの話ではなく、スピーカーやアンプもそうですが、自宅で聴く音楽はこんなもんでいいやとは思わず、違った機材や環境を作ってみると今までの音楽とはほんの少し違って見えるかもしれません。
この記事を読んで、少しでも試してみようという気持ちになってくれたら嬉しいです。
おすすめのカートリッジとプレイヤー
オーディオテクニカ製のスタンダードモデル。
長い期間にわたって人気を保ち続けているのが「VM95」シリーズ。ヘッドシェルも付いてて、オーディオテクニカ独自の機構であるVM方式。
しかも、シリーズ内の製品であれば針交換も可能。様々な音の違いを手軽に楽しめます。
旧タイプはリスニング用に使用していましたが、バランスが良い出音でした。
まず、最初の一本にするには良い商品だと思います。
ナガオカのDJ用針ですが、このカートリッジを始めて聞いた時に音圧の大きさと低音の太さにびっくりしました。
音数が明らかに増えた感じがしました。
DJ用なので、針飛びも少なくその上で高音質、コスパも良いですし。
これお勧めです。
まず、木製です。
ただのブロックみたいですが、カートリッジ。
しかもかなりの高音質。音の伸び感が半端ありません。
米ニューヨークにあるGRADO社の工場でひとつひとつ丁寧に組み立てられています。
どのジャンルもこなせるオールマイティなカートリッジ。女性ボーカルの音域の伸び方に評価がありますね。
また、良い意味でデジタル的な良さを兼ね備えていて、鉄芯入りのMC型なのでエネルギー感も十分にあり、エレクトロやテクノミュージック等のダンスミュージックも楽しく聴けそうです。
MC型にしては、お値段もお手頃で人気がありますね。
リーズナブルでシンプルなプレーヤーです。
本体は天然ウッドで軽量なのもいいですね。フォノイコライザー、スピーカーが内蔵なので本体でそのまま聞くこともできます。
カートリッジも国内の樽屋ブランドが付属。国内生産なので安心さもあります。
USB接続でハイレゾ品位でPCに伝送、録音できるプレーヤーです。
専用ソフトでPCで録音と編集ができちゃいます。
レコードを購入しても、車で聞きたい時やiphone等に入れて聞きたい場合はデータ化する必要がりますので、これは便利ですね。
ただ、カートリッジが交換できないので、デジタル化ツールと思ってもううと良いかもですね。
「SL-1200MKシリーズ」DJといえば、のターンテーブル。
1972年の初代SL-1200から、DJをメインに絶大の人気でしたが2010年に販売を終了しました。
が、レコード人気の再燃に合わせるように、2016年に復活しました。
技術はどんどん向上してますし、定評のノイズ感の少なさと安定性に磨きがかかっています。
ピッチコントロール、ストロボ式回転モニターなども備え、オーディオ用としても活躍しますね。